固定金利は「安心の値段」に見合う?フラット35×固定の賢い選び方

「変動金利の低さは魅力的だけど、将来、金利が上がって返済額が増えたらどうしよう…」
「かといって、固定金利は金利が高いイメージ。その『安心料』って、一体いくら払うことになるんだろう?」
マイホーム購入という大きな決断を前に、住宅ローンの金利タイプで頭を悩ませていませんか?その気持ち、痛いほどわかります。
まるで昔ハマったRPGで、守備力最強の「はがねの盾」を装備するか、攻撃力は高いけど呪われるかもしれない「もろはのつるぎ」を選ぶか…みたいな究極の選択ですよね。
この記事では、そんなあなたの漠然とした不安を解消するために、各種データを基に「固定金利の安心料」を具体的な数字で解き明かします。
さらに、代表的な固定金利ローンである「フラット35」と「民間銀行ローン」の違いを徹底比較し、あなたに最適なプランを見つけるための賢い選び方をステップ形式で解説します。
この記事を読み終える頃には、金利の数字に振り回されることなく、「これなら納得できる!」という自信を持って、あなたの家族にぴったりの住宅ローンを選べるようになっているはずです。
ズバリ!固定金利の「安心料」は月々〇〇円。…と思いきや、優遇適用でまさかの逆転現象!?

※1Pで5年間0.25%優遇、1%が優遇上限、5P以上の場合は6年目以降に繰越
「固定金利は安心だけど、変動金利より高い」…その常識、今すぐアップデートが必要かもしれません。
結論からお伝えします。
もし、あなたが子育て世帯で「フラット35子育てプラス」を利用できる場合、当初5年間の毎月返済額は、一般的な変動金利よりも安くなる可能性があります。
「え、固定金利なのに変動より安いの!?」と驚かれたかもしれません。そうなんです。
国の強力な後押しによって、本来支払うべき「安心料」が大幅に割り引かれる「逆転現象」が一部の変動金利との比較で起きています。まずは、この衝撃的なシミュレーション結果をご覧ください。
一目瞭然!変動金利 vs 優遇適用フラット35 シミュレーション
百聞は一見に如かず。リアルな金利で比較してみましょう。
【シミュレーション条件】
- 借入額:3,500万円
- 返済期間:35年
- 金利設定(2025年9月時点の目安):
- 変動金利:年0.8%(2025年9月時点の平均的な金利)
- 固定金利(フラット35):年1.89% ※当初5年間、「子育てプラス」で金利▲1.0%優遇 ⇒ 年0.89%を適用
いかがでしょうか。驚くべきことに、当初5年間の返済額は、変動金利とほぼ変わらないという結果になりました。金利の絶対的な安心感を手に入れられるにもかかわらず、スタートラインの負担感は同等なのです。
項目 | ① 変動金利(0.8%) | ② 優遇後フラット35 | 差額(② – ①) |
毎月の返済額(当初5年間) | 約95,400円 | 約96,900円 | + 約1,500円 |
毎月の返済額(6年目以降) | 約95,400円 (※変動なしの場合) | 約114,300円 | + 約18,900円 |
35年間の総支払額 | 約4,007万円 (※変動なしの場合) | 約4,701万円 | + 約694万円 |
未来予測:この差額(安心料)、数年で逆転の可能性大
シミュレーション上の総支払額の差、約694万円。これは、あくまで「もし35年間、金利が全く変動しなかったら」という、ありえない仮定の数字です。
ここで、未来に目を向けてみましょう。 現在、多くの市場専門家の間では、「日銀が2025年末から2026年にかけて追加利上げに踏み切る」との見方が強まっています。物価や賃金の上昇が続けば、景気の過熱を抑えるために金利を上げる、というわけです。
これが現実になれば、変動金利の基準となる「短期プライムレート」も引き上げられ、あなたの毎月の返済額も上昇する可能性が極めて高いのです。
例えば、もし5年後に変動金利が1.0%上昇して1.8%になったと仮定すると、総支払額の差は約694万円から約150万円程度まで一気に縮まります。もし上昇幅がさらに大きければ、この差がゼロになり、逆転するシナリオも十分に考えられるのです。
そう、国の優遇策で「ディスカウントされた安心料」が格安になっている今、将来の金利上昇リスクを考慮すれば、固定金利を選ぶことは、もはや単なる「安心」ではなく、合理的な「攻めの選択」とさえ言えるのかもしれません。
【期間限定?】なぜ今、フラット35が歴史的「お買い得」状態なのか?
前の章で見た「固定金利の逆転現象」。その背景には、フラット35独自の金利の決まり方と、国の異例の「配慮」が隠されています。
結論から言うと、フラット35の「仕入れ値」である『機構債』の金利が上がっているにもかかわらず、最終的な「販売価格」であるローン金利の上昇が、政策的に抑えられているからです。
このカラクリを知れば、今がどれほど特別な状況かがよく分かります。
金利決定の仕組み:パン屋の例えで見る「仕入れ」と「販売」
少し専門的になりますが、パン屋さんに例えると簡単です。
- 市場の天候(=長期金利)
まず、世の中全体の金利の指標である「長期金利」が決まります。これが市場の天候のようなものです。 - 小麦の仕入れ値(=機構債金利)
フラット35を提供する住宅金融支援機構は、運営資金を調達するために「機構債」という債券を発行します。パン屋が小麦を仕入れるのと同じです。この機構債の金利(利率)は、市場の天候(長期金利)を元に決まります。 - パンの販売価格(=フラット35金利)
本来、パン屋は小麦の仕入れ値(機構債金利)に、人件費や利益などの経費を上乗せして、パンの販売価格(フラット35金利)を決めます。
この「長期金利 → 機構債金利 → フラット35金利」という流れが基本です。
【最新情報】今、起きている金利の「異常事態」
では、2025年9月現在の市場で何が起きているのか。
現在、市場の天候である長期金利は約1.65%まで上昇しています。これを受けて、小麦の仕入れ値である機構債の金利も約1.85%で発行されました。
セオリー通りなら、パン屋(機構)は1.85%という極めて高い仕入れ値に、当然経費をしっかり乗せるはずです。ところが、最終的なパンの販売価格(フラット35金利)は1.89%。
これはつまり、上乗せ幅が、もはや経費すら賄えないであろう、わずか0.04%にまで異常圧縮されていることを意味します。本来であれば2.5%を超えても全くおかしくない金利が、採算度外視で設定されているのです。
カラクリを暴露:国が私たちのためにコストを一部負担している
なぜ、そんなことが可能なのか。
それは、パン屋のオーナーでもある国が「急にパンの値段が上がると、みんなが買えなくなって困るだろう」と、利益を削ってでも価格を抑えるように指示しているからです。
つまり、住宅金融支援機構が、急激な金利上昇による住宅取得マインドの冷え込みを防ぐため、本来なら金利に転嫁すべきコストを努力で吸収しているのです。
しかし、この異例の措置が未来永劫続く保証はどこにもありません。この「期間限定セール」がいつまで続くかは誰にも分からないからこそ、固定金利を検討している方にとっては、今がまたとない好機(チャンス)となっているのです。
そもそも固定金利ってどんな仕組み?メリット・デメリットを再確認しよう
ここまで「フラット35が歴史的にお買い得!」という話をしてきましたが、そもそも固定金利にはどんな特徴があるのでしょうか。
一言でいうと、固定金利とは「将来の安心を、契約時の金利で”予約”しておく仕組み」です。
まるで、35年間の家賃が「今後一切値上がりしません」と約束された契約書にサインするようなもの。その本質的なメリットと、現在の市場環境におけるデメリットを見ていきましょう。
最大のメリット:返済額が変わらない「絶対的な安心感」
固定金利のメリットは、この一言に尽きます。契約時に決まった返済額が、35年間、1円も変わらない。これがもたらす精神的な安定と、人生設計の立てやすさは計り知れません。
デメリット:変動金利より金利が高め(…でも今は?)
一方、デメリットは、変動金利に比べて当初の金利が高めに設定されていることです。
【ミニ解説:なぜ固定金利(長期金利)は変動金利(短期金利)より高くなるの?】
これを「天気予報」に例えると非常に分かりやすいです。
- 変動金利(短期金利)は「今日の天気」
日銀が「今は低金利ですよ」と決める政策金利に大きく影響されます。いわば、気象庁が発表する今日の天気のようなもので、確実性が高いです。 - 固定金利(長期金利)は「10年間の長期予報」
こちらは、市場で毎日取引される国債の価格で決まります。世界中の投資家たちが
「今は晴れ(低金利)だけど、数年後には景気が回復してインフレ(物価上昇)になるだろう。だから、10年間お金を貸すなら、将来の物価上昇分をあらかじめ上乗せしておかないと損だ」と考えます。
つまり、長期金利には『未来の景気は、今より良くなるはずだ』という市場参加者の「期待」や「予測」が織り込まれているため、現在の「今日の天気(短期金利)」よりも金利が高くなるのが自然なのです。
その逆もあり得ます。
市場が「将来、深刻な不景気になる」と強く予測する非常に稀なケースでは、長期金利が短期金利を下回る「逆イールド」という現象が起こることも。
これは「景気後退のサイン」とも言われますが、住宅ローンを考える上では、まずは「長期金利は将来への期待を反映して高くなるのが基本」と覚えておけば大丈夫です。
…そして、思い出してください。
この理論を踏まえてもなお、今はその金利差が歴史的に小さくなっている特別な状況です。国の政策によって固定金利(フラット35)の上昇が抑えられ、変動金利との差がギュッと縮まっています。
普段なら少し躊躇してしまう固定金利のデメリットが、今は大幅に軽減されているのです。
【30秒で診断】こんなあなたには固定金利がおすすめ!
- ✅「もし金利が上がったら…」と考えると、夜も眠れなくなりそう
- ✅ 子どもの進学など、将来の教育費計画をきっちり立てたい
- ✅ 面倒なことは嫌い。金利の動向をいちいちチェックしたくない
一つでも当てはまったあなたは、固定金利との相性が非常に良いタイプと言えるでしょう。
「安心」という価値を、何よりも優先したい方にとって、固定金利は常に力強い味方なのです。
【徹底比較】「フラット35」vs「民間銀行ローン」それぞれの強みと弱み
さて、固定金利の魅力と基本がわかったところで、次はいよいよ具体的な選択肢の比較です。
固定金利の世界には、公的な後ろ盾を持つ「フラット35」と、
各銀行が独自の工夫を凝らす「民間銀行の固定金利ローン」
という二大巨頭が存在します。
これは例えるなら、全国一律の安心感と料金体系が魅力の「国民的インフラサービス」と、多彩なオプションやキャンペーンが魅力の「民間ハイスペックサービス」を選ぶようなもの。
どちらが良いかは、あなたの価値観と状況次第です。
ひと目でわかる!比較表で強みと弱みを丸裸に
まずは、両者の違いを一覧表で比較してみましょう。
項目 | フラット35 | 民間銀行の固定金利 | 注目ポイント |
金利の決まり方 | 市場金利に連動(透明性が高い) | 長期金利を参考に各銀行が独自判断 | 今はフラット35が政策的に割安 |
審査基準 | 「物件の質」を重視 (省エネ性能や耐震性など) | 個人の返済能力を重視 (年収、勤続年数) | フラット35は自営業や転職直後でもチャンスあり |
団信(団体信用生命保険) | 任意加入 (不加入時は▲0.2%) | 原則、強制加入(金利に含まれる) | 民間銀行の方が保障が手厚い傾向 |
手数料 | 保証料は不要、事務手数料はおおむね2.2% | 金融機関により様々(保証料型など) | 初期費用をどれだけ抑えたいか? |
保証人 | 不要 | 原則不要 | どちらも原則不要 |
物件の技術基準 | 必須(省エネ基準など厳しい要件) | 金融機関独自の基準 | 購入したい物件は基準を満たせるか? |
あなたの価値観はどっち?
この比較表から、どちらがあなたに向いているかが見えてきます。
「割安な安心」と「審査の窓口の広さ」を求めるなら → フラット35
今の歴史的な“お買い得”金利の恩恵を最大限に受けたいなら、第一候補は間違いなくフラット35です。
また、自営業の方や転職して間もない方など、民間銀行の審査基準(特に勤続年数)がネックになりがちな方にとっても、個人の属性より物件の質を重視するフラット35は心強い味方になります。
ただし、購入したい物件が省エネ基準などを満たしていることが大前提です。
「手厚い保障」と「柔軟な選択肢」を求めるなら → 民間銀行の固定金利
がんや八大疾病、就業保障など、手厚い保障が付いた団信を重視するなら、金利込みで充実した保障を提供している民間銀行に大きなメリットがあります。
また、「当初10年だけ固定」のような期間選択型や、独自のキャンペーン金利など、銀行ごとに特色あるプランから選びたい方にも向いています。(厳密には長期固定とは異なる商品ですが)
物件の技術基準に縛られない点も魅力です。
今の特別な市場環境を踏まえつつ、あなたが何を一番大切にしたいのかを考えることが、最適なローン選びへの近道となります。
【モデルケース別】それでも民間ローンを選ぶのはどんな時?
さて、これまでの比較で「今の状況で長期固定を選択するなら、金利が圧倒的に低いフラット35が最強じゃないか」と感じている方がほとんどだと思います。実際、その通りです。
では、この章は不要なのでしょうか?いいえ、ここからは「金利で数百万円有利なフラット35という選択肢がありながら、それでも民間銀行の固定金利を選ぶ、あるいは選ばざるを得ないのはどんな状況か?」という、一歩踏み込んだ問いに答えていきます。
ケース① 年収500万円・子育てファミリー → やはり「フラット35」がベストマッチ

- 家族構成: 夫35歳(会社員)、妻33歳(パート)、子は小学生と保育園
- 世帯年収: 600万円
- 最優先事項: 教育費も考え、とにかく将来の家計を安定させたい。
【結論】 このケースでは、やはり議論の余地なく「フラット35」が最適解です。
圧倒的な金利の低さに加え、「子育てプラス」の優遇も受けられるため、家計の安定を最優先するこのご家庭にとって、民間銀行を選ぶ積極的な理由は見当たりません。まさに「フラット35のためにあるようなケース」と言えるでしょう。
ケース② 年収1,200万円・パワーカップル → 「高額物件」や「対象外物件」で民間ローン

- 家族構成: 夫32歳(専門職)、妻31歳(総合職)、夫婦二人暮らし
- 世帯年収: 1,200万円
- 最優先事項: 都心・好立地など、物件の資産価値も重視したい。
【結論】 このご夫婦が例外的に「民間銀行の固定金利」を選ばざるを得なくなるのは、選ぶ物件が理由となるケースです。
- 融資額が8,000万円を超える場合
フラット35の融資上限額は8,000万円です。都心の新築マンションなど、物件価格がこれを上回る場合、そもそもフラット35は利用できません。
例えば9,000万円のローンを組む必要がある場合、選択肢は必然的に民間銀行のみとなります。 - 物件が「フラット35の基準」を満たさない場合
もう一つ、非常に重要な制約が物件の技術基準です。フラット35を利用するには、省エネ性や耐震性など、国が定める厳しい基準をクリアし、「適合証明書」が発行される物件でなければなりません。
中古マンションや、独自の設計思想で建てられたデザイナーズ物件などでは、この基準を満たさないケースが少なくありません。理想の物件が見つかっても、その物件がフラット35の対象外であれば、選択肢は民間銀行に限られます。
金利の有利不利以前に、「物理的にフラット35が使えない」という状況で、民間銀行の固定金利が選択肢として浮上してくるのです。
ケース③ 自営業・フリーランス → 選択の余地なく「フラット35」が救世主に

- 人物像: 38歳、開業3年目のWebデザイナー
- 年収: 600万円(ただし収入に波あり)
- 最優先事項: まずはローン審査に通ること。
【結論】 このケースでは、金利を比較する以前の問題として、「審査に通るかどうか」が最重要になります。
そして、その点で「フラット35」が唯一無二の選択肢となることがほとんどです。
民間銀行が求める「収入の安定性」という壁を越えられなくても、フラット35ならマイホームの夢を掴める可能性が十分にあります。
金利が有利なだけでなく、門戸の広さにおいても救世主となるのです。
後悔しない!あなたに最適な固定金利ローンを見つけるための3つのステップ

さて、ここまでの情報で、あなたに合うローンの輪郭がかなりハッキリと見えてきたのではないでしょうか。ここからは机上の知識を「確信」に変えるための、具体的な行動ステップをご紹介します。
この3つのステップを順番に実行すれば、あなたは自信を持って「我が家の最適解」にたどり着くことができます。
ステップ1:まずは家計を把握!「安全に返せる額」はいくら?
すべての基本は、ご自身の家計を「見える化」することから始まります。銀行が提示する「借りられる額」ではなく、あなたが「無理なく安全に返せる額」を知ることが最も重要です。
ステップ2:ライフプランを書き出し、未来の出費を予測する
35年という長い返済期間には、様々なライフイベントが待ち受けています。未来の大きな出費を予測しておくことで、ローンの選択ミスを防ぐことができます。
ステップ3:金融機関で「事前審査」を受け、リアルな条件を比較する
ステップ1、2が机上での準備だとしたら、いよいよここからが実践です。気になる金融機関に「事前審査(仮審査)」を申し込み、あなただけに提示される「リアルな条件」を引き出しましょう。
【重要】選んだ後も安心!固定金利の「出口戦略」という考え方
固定金利は「安心」の代名詞ですが、「一度決めたら35年間身動きが取れない、融通の効かないローン」だと思っていませんか?
実はそんなことはありません。市場が大きく動いた時や、家計に余裕ができた時のために、賢い「出口戦略」を知っておけば、さらに安心して固定金利を選ぶことができます。主な戦略は2つです。
もし将来、金利が大幅に下がったら?→「借り換え」という最強のカード
固定金利を選んだ人が最も心配するのが、「もし10年後、世の中の金利がすごく下がったら損した気分になるのでは?」ということでしょう。ご安心ください。そんな時のために「借り換え」という最強のカードが用意されています。
借り換えとは、今あるローンを、もっと金利の低い別の銀行のローンで丸ごと借り直して、乗り換えることです。
かつては「借り換え後の金利差が1%以上ないとメリットが出ない」と言われていましたが、低金利が続いた今、その常識は変わりました。
現在では金利差が0.5%、場合によっては0.3%程度でも、ローン残高や残りの返済期間によっては十分にメリットが出るケースが増えています。
大切なのは、単純な金利差の数字よりも「借り換えによって軽減できる総利息額」が、「借り換えにかかる諸費用(手数料や登記費用などで数十万円)」を明確に上回るかどうかです。
多くの銀行サイトで無料の借り換えシミュレーションができますので、「もしかして、うちも安くなるかも?」と感じたら、まずは気軽に試算してみることをお勧めします。
固定金利は「安心」を確保しつつ、将来の金利低下の恩恵も後から受けられる、攻守に優れた選択肢なのです。
手元資金ができたら?→「繰り上げ返済」vs「資産運用」を天秤にかける
ボーナスや親からの援助などで、手元にまとまった資金ができた時。多くの人がまず考えるのが「繰り上げ返済」です。繰り上げ返済には、利息の軽減効果が圧倒的に大きい「期間短縮型」が鉄則です。
しかし、ここで一度立ち止まってみましょう。今の時代、本当に繰り上げ返済が常に「最善手」なのでしょうか?
繰り上げ返済の「利益」とは?
繰り上げ返済で得られる利益は、支払うはずだった「ローンの利息分」です。あなたのローン金利が年1.89%なら、繰り上げ返済は「年1.89%のリターンが確定している金融商品」と考えることができます。元本保証でこの利回りは、非常に魅力的です。
もう一つの選択肢、「資産運用」
一方、その手元資金を新NISAなどを活用して資産運用に回した場合、どうでしょうか?もし、あなたが全世界株式のインデックスファンドなどで、年4〜5%のリターンを期待できると考えるなら、ローンはそのまま借り続け、手元資金は運用に回した方が、お金がより大きく増える可能性があります。
どちらが正解かは、あなたのローン金利とリスク許容度次第です。
「あなたのローン金利」<「期待できる運用リターン」
この不等式が成り立つと考えるなら、資産運用も有力な選択肢。確実性を取るなら繰り上げ返済。この視点を持つことが、現代における賢いお金との付き合い方です。
プロに相談して最終チェック!後悔しないための最後の砦

ここまで、固定金利を選ぶためのあらゆる情報をお伝えしてきました。シミュレーションを重ね、ご自身のライフプランとも向き合ってきたあなたなら、もう自分に最適なローンの姿が、かなり明確に見えているはずです。
しかし、それでも「本当に、この何千万円もする決断が、自分にとってベストなのだろうか…」という一抹の不安が残るのは、ごく自然なことです。
そんな、最後のひと押しが欲しいあなたのために、この章では「専門家に相談する」という、後悔しないための最後の砦についてお話しします。
専門家の客観的な視点を入れることで、あなたの選択は「納得」から「確信」へと変わるはずです。
相談の鉄則は「まず中立なFP、次に金融機関」
自己判断だけで進めるのが不安な時、相談すべき専門家はいますが、その順番が非常に重要です。
最初に行くべきは、銀行の窓口ではありません。特定の金融機関に所属しない、中立な立場のファイナンシャルプランナー(FP)です。
なぜなら、銀行は「商品を売るプロ」ですが、FPは「あなたの家計を守るプロ」。最初に頼るべきは、100%あなたの味方になってくれる専門家だからです。
FP相談では、住宅ローンだけでなく、あなたの家計全体の状況、教育資金や老後資金の見通しまで含めて、「そもそも、我が家はいくらまで借りるのが安全か」「どの金利タイプがライフプランに合っているか」という土台の部分を客観的に固めてくれます。 (※相談は有料なことが多いですが、数万円の投資で将来の数百万円の失敗を防げると考えれば、非常に価値があります)
FPと相談して「我が家の方針」という名の羅針盤を手に入れたら、次はいよいよ金融機関の窓口です。
この段階では、もう銀行のセールストークに惑わされることはありません。
あなたの目的は、FPと決めた方針に基づき、具体的な商品の「答え合わせ」をすることです。「この条件だと、御行の金利や手数料、団信の保障内容は具体的にどうなりますか?」と、主導権を握って話を進めることができます。
相談自体は無料ですし、そのまま手続きに進めるのもメリットです。候補となる複数の金融機関でこの「答え合わせ」を行い、最終的に最も条件の良いところを選ぶ。
この「まずFP、次に金融機関」という順番こそが、専門家を賢く活用し、後悔のない決断に至るための王道なのです。
よくある質問とその回答(FAQ)
- Q1. 固定金利期間が終わったら金利はどうなりますか?
-
「期間選択型」の固定金利の場合、終了後はその時点の金利で再度固定期間を選ぶか、変動金利に移行するのが一般的です。
多くの場合、金利の優遇幅が終了前より縮小し、返済額が以前より高くなる点に注意が必要です。 - Q2. 途中で変動金利から固定金利に切り替えることはできますか?
-
多くの金融機関で変動金利から固定金利への変更は可能です。ただし、変更手続きを行う時点の金利が適用されるため、市場金利が上昇している局面では思ったより高い金利になることも。
また手数料がかかる場合もあるので確認してから行ってください。 - Q3. 物価が上がっている今、固定金利を選ぶのは得策ですか?
-
物価上昇(インフレ)が進むと、景気の過熱を抑えるため金利が上昇する傾向にあります。
将来の金利上昇リスクに備えるという意味で、返済額が変わらない固定金利の安心感は、インフレの時代において一層高まると言えるでしょう。 - Q4. 「当初期間引き下げプラン」って何ですか?注意点は?
-
契約から一定期間(5年、10年など)の金利を特に低く設定したプランです。
見た目の金利は魅力的ですが、引き下げ期間終了後に金利の優遇幅が縮小し、返済額が急に増える点に注意が必要です。 - Q5. 繰り上げ返済をするなら、固定と変動どちらが有利ですか?
-
一概には言えませんが、金利が高いローンほど繰り上げ返済による利息軽減効果は大きくなります。
そのため、一般的には変動金利よりも金利が高い固定金利の方が、繰り上げ返済によって得られる恩恵はより大きいと言えます。
まとめ
国の政策により、今、フラット35が歴史的な「お買い得」状態にある。将来の金利上昇リスクに備える「安心料」が通常より格安になっていることをまず認識しよう。
全期間固定金利を検討中の方は、金利面ではフラット35が圧倒的に有利。「融資額8000万円の上限」や「物件の技術基準」など、物理的に使えない場合のみ民間ローンを検討するのが現実的な選択だ。
銀行が言う「借りられる額」ではなく、自分の家計とライフプランから「安全に返せる額」を正確に把握することが、後悔しない住宅ローン選びのスタートラインになる。
固定金利は一度決めたら終わりではない。「借り換え」による見直しや、「繰り上げ返済 vs 資産運用」といった出口戦略を知っておくことで、将来の変化にも柔軟に対応できる。
最終的な決断に迷ったら、専門家を頼るのが賢明。まず中立なFPに相談して家計の土台から方針を固め、その後に金融機関で「答え合わせ」をするのが成功の鉄則です!