マイホーム購入が決められない本当の理由。夫婦で本音を話していますか?展示場10軒見ても、答えは出ません

予算でも、立地でも、営業マンの提案でもない。本当の理由は、もっとシンプルなところにあります
住宅購入の相談に来られる方の多くが、こう聞かれます。

「私たちの予算はいくらですか?」



「いくらまでなら安全に借りられますか?」
もちろん、それも大切です。予算を知ることは、マイホーム計画の重要なステップです。
でも、ファイナンシャルプランナーとして1,000組以上のご家族を見てきた僕が、最初にお願いすることは違います。



「ご夫婦で、ゆっくり話し合ってきてください」
「えっ、それだけですか?」
多くの方が驚かれます。
でも、これが一番大事なんです。
どんなに完璧な予算を計算しても、どんなに安全な資金計画を立てても、
この記事は、いつものように住宅ローンの話でもなく、ライフプランニングの話でもなく、予算の話でもありません。
長年この業界で活動させていただいて、たくさんのご家庭のお手伝いをさせていただき、
そして自分自身が住宅購入した時の反省もかなり入っている、一番大事な夫婦間の感情整理のお話です。
住宅購入の最初の一歩、いえいえ、その前にぜひ読んでいただけると嬉しいです。
なぜ「ちゃんと計画した家」で後悔するのか


完璧な予算、でも5年後に聞こえる言葉



「どうして、こんな家にしてしまったんだろう…」
これは、資金計画が破綻した人の言葉ではありません。
予算内で、計画通りに建てた人の言葉です。
住宅ローンの返済も滞っていません。
家も立派です。
でも、心が満たされていない。
Aさん家族の場合
世帯年収700万円のAさんご夫婦。
FPに相談し、無理のない予算を算出しました。
展示場を何軒も回り、間取りもしっかり検討しました。
土地も希望のエリアで見つかり、理想の家が完成しました。
でも、入居して3年後。
奥様がぽつりとこう言ったそうです。
ご主人は驚きました。
「え、そうだったの?なんで言わなかったの?」
「だって、あなたが『これで十分』って言ってたから…」
なぜ、こんなことが起きるのか
予算は正しかった。
間取りも一般的には合理的だった。
でも、「この家族にとって本当に大切なこと」が整理されていなかったのです。
数字で安全でも、心が安心していなければ、それは成功とは言えません。
奥様は料理が好きで、友人を招いてホームパーティーをするのが夢だった。
でもそれを言葉にできなかった。
ご主人は「標準的な広さ」で十分だと思い込んでいた。
二人の間に、「本当はどうしたい?」という対話がなかった。
結果として、誰も悪くないのに、誰も満足していない家ができてしまったのです。
営業マンに流される本当の理由


「自分の軸」がないと、誰かの価値観で家を買うことになる
展示場に行くと、素敵なモデルハウスが並んでいます。
営業マンは親切で、専門知識も豊富です。
「このキッチンは最新です」
「このリビングは今人気のプランです」
「このデザインは資産価値が下がりにくいです」
すべて正しい情報です。
でも、それはあなたの家族にとっての「正解」でしょうか?
「人気のプラン」は誰の人気?
あちこちの住宅展示場でよく見かける人気プラン。
オープンで、開放的な間取り、でもコンパクトにまとまっている。
確かに素敵です。
でも、あなたの家族の暮らしに本当に合っていますか?
例えば私が今住んでいる新潟の冬、いくら断熱性能がよくてもそんなオープンな間取りで大丈夫?
じめじめした夏の暑さ、厳しい冬の寒さの中での光熱費は?
1人1台の車社会で、駐車スペースは十分?
庭の雪かきは誰がする?
「人気」ではなく、「あなたの家族にとって」で考えたことはありますか?
モデルハウスで見た「素敵な暮らし」は誰の暮らし?
モデルハウスには、完璧に配置された家具があります。
家族の笑顔の写真。
おしゃれな小物。
でもそこには、生活感がありません。
散らかったおもちゃも、脱ぎっぱなしのコートも、洗濯物もありません。
あなたが暮らすのは、モデルハウスではなく、「日常」です。
その日常で、本当に必要なものは何か。
それを考えずに、「素敵だから」で選んでしまうと、後悔につながります。
「そのうち話そう」が一番危ない


忙しい毎日の中で、すれ違っていく夫婦
仕事に、子育てに、毎日が忙しい。
「家欲しいね」「そうだね、そろそろかな」
そんな会話はしている。
でもそれは「話し合い」じゃなくて「確認」です。
週末に展示場に行っても、疲れていてゆっくり話せない。
夜に話そうと思っても、子供を寝かしつけた後はお互いに疲れている。
「詳しくは後で話そう」
「とりあえず、見てから考えよう」
そうやって、深い対話を先延ばしにしている間に、計画だけが進んでいく。
「うちは話し合ってるから大丈夫」という思い込み
「どんな家がいい?」
「明るい家がいいな」
「そうだね、じゃあ南向きで探そう」
これは話し合いでしょうか?
「なぜ明るい家がいいの?」
「明るいとどう感じるの?」
「今の家の何が暗いと感じるの?」
そこまで掘り下げて聞いたことはありますか?
もしかしたら、「明るい」の裏には、「冬の暗さが憂鬱」という気持ちがあるかもしれません。
だとしたら、必要なのは南向きではなく、照明計画や室内の色合いかもしれません。
表面的な言葉だけで判断せず、その奥にある本当の気持ちを聞く。
それが、本当の話し合いです。
パートナーの小さな違和感、見逃していませんか
間取り図を見せた時、パートナーが「ふーん」と言った。
「まあいいんじゃない」と言った。
それは本当に「いい」でしょうか?
もしかしたら、「反対はしない」というだけで、「これがいい!」ではないかもしれません。
「まあ、そうね」(同意ではなく、諦め)
「あなたがそう思うなら」(自分の意見を飲み込んでいる)
「プロに任せればいいんじゃない」(思考停止している)
こんな言葉が出たら、要注意です。
本音が言えていないサインかもしれません。
感情整理をしないまま進むと何が起こるか


パターン1:予算オーバーの罠
「せっかくだから、もう少しグレードアップしませんか?」
「一生に一度のマイホームですから」
営業マンの言葉は魅力的です。
そして、「自分の軸」がないと、すべてが必要に見えてきます。
最新のキッチン、床暖房、太陽光パネル、広い浴室…
どれも素敵です。
でも、あなたの家族にとって本当に必要ですか?
気持ちが整理されていないと、「何となくいいな」がすべて「必要」に変わります。
そして、予算オーバー。
「まあ、何とかなるでしょう」と思って進めると、将来の家計を圧迫します。
パターン2:完成後の「これじゃない」感
図面では完璧だった。
ショールームで見た設備も素敵だった。
でも、実際に住んでみると、何か違う。
「こんなはずじゃなかった」
それは、形だけで決めて、気持ちで決めていなかったから。
「広いリビングが欲しい」と言ったけれど、本当に欲しかったのは「家族が集まる安心感」だったかもしれません。
その「安心感」は、広さではなく、配置や雰囲気で生まれるかもしれません。
本質を言葉にできていないと、形だけ手に入れても満足できないのです。
パターン3:家族の亀裂
数年後、家計が厳しくなった時。
「あなたが決めたんでしょ」
「私は最初から不安だったのに」
「あの時、もっと安い家にすればよかった」
決断のプロセスに全員が納得していないと、後から責任の押し付け合いになります。
一緒に悩んで、一緒に決めたという実感がなければ、辛い時に一緒に乗り越えられません。
マイホームが、家族の幸せのはずが、家族の不和を生んでしまう。
こんな悲しいことはありません。
本音を引き出す「優しい質問」


まずは30分、二人だけの時間を作る
展示場に行く前に。
不動産屋さんに連絡する前に。
銀行に相談に行く前に。
まず30分、二人だけでゆっくり話す時間を作ってください。
週末のカフェでもいい。
子供が寝た後のリビングでもいい。
ドライブしながらでもいい。
スマホを置いて、テレビを消して、向き合ってください。
質問1:「今の家で、一番ストレスなことは?」
ポジティブな質問ではなく、ネガティブから入ってみてください。
不満は、本音が出やすいんです。
「冬が寒い」
→なぜ?
「暖房をつけても電気代が気になる」
→本当は?
「気にせず暖かく過ごしたい」
新潟の冬の厳しさ、夏のじめじめ。
光熱費の不安。
「収納が少ない」
→本当は?
「すっきりした部屋で落ち着きたい」
表面的な不満の奥にある、本当の願いを探してください。
質問2:「家で、どんな気持ちになりたい?」
「広いリビング」が欲しいのではなく、その先にある気持ちを聞いてください。
「ほっとする」
「誇らしい」
「楽ちん」
「ワクワクする」
「落ち着く」
「安心する」
形ではなく、感情を言葉にしてみてください。
広いキッチンは、「料理を楽しめる」という気持ちのためかもしれません。
書斎は、「一人の時間を持てる」安心感のためかもしれません。
本当に欲しいのは「形」ではなく「気持ち」です。
質問3:「10年後、この家で何してる?」
未来を想像すると、今必要なものが見えてきます。
子供は何歳?
部活の道具で玄関が散らかってる?
友達を家に連れてくる?
受験勉強してる?
あなたたちは?
まだバリバリ働いてる?
親の介護は考えてる?
車は何台必要?
新潟の雪かきは誰がする?自分でできてる?
駐車場の出し入れは楽?
未来を具体的に想像することで、今の選択が変わります。
質問4:お互いに「これだけは譲れない3つ」を書く
一人で静かに考える時間を持ってください。
スマホのメモでもいいので、書いてみてください。
「絶対に譲れないこと」を3つ。
そして理由も。
「なぜそれが譲れないのか?」
後で見せ合う時は、否定しないでください。
批判しないでください。
笑わないでください。
「へえ、そう思ってたんだ」
「そういう理由だったんだね」
まず受け止めてください。
そこから、共通点を探していきます。
違う点も、大切に扱ってください。
どちらかが我慢するのではなく、両方を満たす方法を一緒に考えるんです。
「我が家の憲法」を作る


一言で表す、あなたの家族の価値観
質問の答えから、共通する想いを見つけてください。
「子供がのびのび遊べる家」
「家事が楽な家」
「新潟の四季を快適に過ごせる家」
「家族それぞれが自分の時間を持てる家」
「帰ってきてホッとできる家」
「友達を気軽に呼べる家」
たった一言。
でもこの一言が、これからの何百回もの判断の基準になります。
迷った時に立ち返る羅針盤
営業マンが素敵なオプションを提案してくれた時。
「これは我が家の憲法に合ってる?」と問いかけてください。
もし合っていなければ、どんなに人気でも、どんなに素敵でも、あなたには不要です。
もし合っていれば、多少予算が上がっても、それは「必要な投資」です。
軸があれば、判断に迷いません。
「これは必要」「これは不要」と、自信を持って言えるようになります。
展示場でも、銀行でも、打ち合わせでも
この憲法を、常に携えていてください。
スマホのメモ帳に保存してもいい。
手帳に書いてもいい。
夫婦で共有して、いつでも見られるようにしてください。
打ち合わせの前に、二人で確認する。
「今日も、憲法を忘れずにね」
そうやって、軸を保ち続けてください。
感情が整理されると、お金も整う


「何となくいいな」がなくなる
気持ちの整理ができていると、不思議なことに、お金の使い方も整います。
ここまでお金の話は一切しませんでしたが、FPとしてはここが一番大きいと思います。
憲法があれば、オプションを提案された時に判断できます。
「これは我が家に必要?」
「これは憲法に合ってる?」
「何となくいいな」ではなく、「これは必要」「これは不要」と明確に判断できます。
結果的に、無駄な出費が減ります。
予算オーバーしにくくなります。
ライフプランが「自分事」になる
FPとして資金計画を立てる時、お客様にライフプランシミュレーションをお見せします。
「この予算なら、50年後も安心です」
でも、数字だけでは実感が湧きにくい。
でも、こう言うとどうでしょう。
「この家で、子供がのびのび遊んで、ご夫婦が安心して暮らせて、老後も余裕を持って過ごせるのが、この予算です」
数字と感情が紐づくと、急に現実味が出ます。
「この暮らしのために、この予算が必要」
そう思えたら、覚悟が生まれます。
頑張ろう、という気持ちになります。
無理な予算を組むこともなくなります。
だって、「この暮らし」を守りたいから。
50年後の「買ってよかった」につながる
住宅ローンは長い道のりです。
30年、35年と返済していく中で、辛い時期もあるでしょう。
ボーナスが減った時。
子供の教育費がかさむ時。
病気や怪我で働けなくなった時。
そんな時でも、「でも私たちが選んだ家だから」と思えるか。
それは、最初に二人で考えて、納得して決めたかどうかで決まります。
子供が巣立った後、夫婦二人になった時。
「この家でよかったね」と言い合える。
それが、本当の成功です。
完璧な家はない。でも、完璧なプロセスは作れる


家に正解はない
どんな家も、完璧ではありません。
何かを得れば、何かを諦めなければいけません。
立地を優先すれば、広さを妥協する。
広さを優先すれば、利便性を妥協する。
予算内に収めるために、何かを削る。
誰かに決められるのではなく、自分たちで選ぶこと。
「これでよかった」と思えるかどうかは、プロセスで決まる
10年後、もしかしたら後悔することがあるかもしれません。
「あの時、もう少し広くすればよかった」
「もっと駅に近い方がよかった」
でも、それを二人で決めたなら。
「でも、あの時はこれがベストだと思ったよね」
「そうだね。後悔はないよ」
そう言い合えます。
完璧な家を作ることはできない。でも、完璧なプロセスは作れます。
二人で悩んで、二人で考えて、二人で決めた。
その事実が、何よりも強い。
まとめ:展示場に行く前に、やるべきこと


予算よりも、立地よりも、まず「対話」
マイホーム購入で一番最初にやるべきこと。
それは、予算を計算することでも、展示場を見に行くことでも、土地を探すことでもありません。
たった30分でいい。
でもその30分を、丁寧に、優しく、お互いの気持ちを聞き合う時間にしてください。
今夜から始められる
難しいことは何もありません。
今夜、パートナーに聞いてみてください。
「ねえ、どんな家にしたい?本音で」
時間がなければ、週末でもいい。
子供を預けて、二人だけの時間を作ってもいい。
カフェでもいい。
ドライブしながらでもいい。
スマホを置いて、向き合ってください。
もし話すのが難しければ
夫婦だけでは話しにくいこともあるかもしれません。
長年一緒にいると、かえって本音が言いにくかったりします。
そんな時は、第三者の力を借りるのも一つの方法です。
ファイナンシャルプランナーは、予算を計算するだけが仕事ではありません。
気持ちの整理をお手伝いすることも、大切な役割です。



マイホームお金の相談窓口では、予算の相談の前に、必ず「気持ちの整理」からお手伝いしています。
マイホームは「買うもの」じゃなくて「紡ぐもの」
家は買ったら終わりじゃありません。
そこから何十年も、家族の物語が続きます。
朝起きて、「おはよう」と言う場所。
仕事から帰って、「ただいま」と言う場所。
子供が育って、巣立っていく場所。
夫婦が年を重ねて、一緒に年を取る場所。
その物語が幸せなものになるかどうかは、今の「対話」で決まります。
展示場のチラシを持つ前に
まず、家族と向き合ってください。
お互いの「本当は」を、優しく聞いてください。
「まあいいか」で済ませないでください。
「あなたに任せる」で終わらせないでください。
30分の対話が、何十年もの幸せを作ります。
何百万円もの無駄を防ぎます。
夫婦の絆を深めます。
一緒に、後悔のない家づくりを
マイホームお金の相談窓口は、あなたの家族の対話から、寄り添います。
数字だけじゃない。
気持ちも、想いも、夢も。
全部まとめて、一緒に考えます。
50年後、あなたが笑顔で「この家を買ってよかった」と言えるように。
そして、パートナーも同じように笑顔で言えるように。
まずは、気持ちの整理から始めましょう。
予算の話はその後です。



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